楽しい読書
２０１３年

　「女の庭」は５人の京女の恋を中心に生き方を赤裸々につづった話。最初からきわどい描写でセックスの話が出てくる。これぞ真の女かと強烈な印象を与えてくれた。１人目は欲望のままに次々と男と交じあい、生きていく。２番目の人は欲求不満気味にブログで妄想したこと、仮の自分の奔放な姿を描き、発散させようとする。そこから思いがけない展開となる。偽りのコメントを書いた偽京大生と密会してしまう。３人目は落ちぶれたモデル。・・・というように５人の強烈な恋とセックスが描かれていた。「マルセル」有名なこの絵画が盗難事件から話が進んでいく。それを追った新聞記者の娘がパリに行き、その出自がわかり、意外な展開となる。有名な作品の贋作がこの事件に大きくかかわってくる。知りたかった母親の生き方を知り、事件を知っていく比較的大きなスケールの話であった。ページ数も５１０と多かった。

　久しぶりに村上春樹の作品を読んだ。彼独特の世界観、人物像があった。几帳面で目立たない性格の主人公。ナイーブであるが芯はしっかりしている。水泳を好きな青年であるがスポーツマン的な雰囲気はない。むしろ文学青年のようなひ弱いイメージがある。５人の仲間から絶縁されて、沈み込んでいく青年。そこから這い上がり成長していくが、自分に自信が持てない。ある恋人に勧められ、過去を探っていく。そこには想定外、予想外の過去の事件があった。５人の仲間は男３人、女２人から構成されていた。高校生とはいえ、やはり危ない絆、もろい関係があったのか。最後にいろいろな過去の出来事やその後の仲間の姿、現実を知って今後主人公はどのようになっていくのか、彼らとの関係はもうなくなってしまうのか・・・。